アールヌーボーの特徴

アールヌーボーの宝飾品

 

アールヌーボーは自然を主要な着想源とした宝飾品としても隆盛を誇りました。これらは、ほうろう細工やオパール、その他半貴石のような新しい素材によって創造されていき、そのレベルも職人芸によって高められていきました。

 

これには日本美術への関心の広がりも影響しており、各種の金属加工技術へ関心が新しい芸術的なアプローチにつながっています。

 

それまで宝飾といえば、素材は貴石、特にダイヤモンドに集中していて、宝飾工の関心は宝石を引きたてるために取り付ける枠を作ることにあったのですが、アールヌーボーの浸透によって芸術的なデザインの概念として認められ、嵌め込まれる宝石に対して装身具の中心的な重要性を置かないタイプの宝飾品が登場したわけです。

 

宝飾品では特にパリとブリュッセルの宝飾工がこの変化での主導者となりました。中でも宝飾工でありガラス職人であったルネ・ラリック氏の作品は、日本美術のデザインにヒントを得た蜻蛉や草など、従来はあまり慣習的でなかったモチーフを取り入れたことで、自然をさらに輝かせたような作品を作り、高い評価を得ました。

 

又、七宝や彫刻を施した宝飾品も登場し、更には宝飾工という職業自体の認識も変化して、その高い芸術性のため、もはや職人ではなく芸術家だと見られるようにもなったのです。