アールヌーボーの特徴

アールヌーボーの家具調度品

 

アールヌーボーの家具の登場は職人仕事の内容を変えていきました。そもそもアールヌーボーの家具制作者は個々のスタイルを持っており、単調な機械的仕事とは一線を画するもので、室内装飾領域での大きな革新となっていったのです。

 

ただ、アールヌーボーでも伝統的な様式を否定しているということではなく、ゴシック調、ロココ調、バロック調などの要素は引き継いでおり、ゴシック調の持つ理論的な要素、ロココ調のアシンメトリーな要素、バロック調の造形的フォルムの要素などは、アールヌーボーの中で解釈され表現されています。

 

又、日本の彩色芸術もジャポニスム調として取り入れられています。

 

アールヌーボーの家具の加工は非常に凝ったものが多く、木材は個性的な形となり、金属も自然物のフォルムを模倣して曲りくねった形のものとなったのが特徴的です。

 

自然の観察に基づいた装飾はこれだけに留まらず、構造的な部分にまで及ぶこともあり、椅子やテーブルに官能的なフォルムを実現させるために、独特な構造についても設計され、その存在感も大きなものとなったのです。

 

アールヌーボーの家具調度品は、フランスでは2つの派があり、それはサミュエル・ビングとエミール・ガレの派で、芸術品としての趣はエミール・ガレの方が強く、サミュエル・ビングはパリの店舗での商業的な要素の方が強かったとされています。